院長コラム

初心不忘

私が歯科大学を卒業して、大学病院なり全国の街の医院で技術の習得に日々忙しかった頃
私の親友のO原先生は北海道の内陸に位置する町立医院に勤務していました。
ある時、一人のご老人の患者さんの担当医になり、初めて貰った持ち患者ということもあり感激もひとしお・・
意気揚揚と患者さんに臨みました。
威厳と慈しみをこめて「今日はどうされましたか?」
患者さんは「何でも噛めるのですが、前回から6ヶ月経つので検診にきました。」とのこと。
いつもどうりお口の中の診査をし、右下の奥歯の噛み合わせに黒い溝を発見しました。
ごく初期の虫歯で、早いうちに処置をすれば痛みなく、簡単に治せる事を説明し治療にかかりました。
やはり診査の通り少し削っただけで虫歯は取れました。
削ったところに「アマルガム」と言う粘土状の金属を詰め、こんどは形を整えていきます・・

一汗かいてやっと処置も終わりました。
キラリ輝く銀色の詰め物をみて惚れ惚れする出来にO原先生は大満足。
患者さんにもその感動が伝わったのか、満面に笑顔をうかべ、やにわに総入れ歯をはずして、銀色の詰め物に目を落とし一言

患者さん:「お~っ よぉ~出来とるわい!!」

O原先生:「・・・・・マジ?!」

いまでは卒後十数年、O原先生は患者さんの信望厚い、優秀な臨床医であり、立派な病院の院長先生です。
彼と久しぶりに一杯やると、往年の昔話に花が咲きます。
最後はいつも「あの頃の情熱や感動を忘れない様にしような!!」です。
こうして我々歯科医も初心を忘れない様に頑張っています。
日々の診療に流され、えてして楽をしたがるのが人間の常です。
皆さんもかかりつけの医院の先生を信頼して何でも相談してみましょう。
きっとやさしく答えてくれますよ!!

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